たまに見かける
『スケルトンインフィル』
という言葉。
スケルトンインフィル工法と言ったり、
略してSI(工法)なんて言われているものも見かけます。
そのメリットやデメリットは?
そもそもどういうものなのか。。
そもそもスケルトンインフィル工法とは?
本来、スケルトンインフィル工法とは、
『スケルトン
(構造部分=コンクリートの柱や梁、床など。)
と
インフィル
(内装部分=寝室の間仕切りの壁や、キッチンや
お風呂などの設備)
とを分けて作る。』
みたいな意味が一般的でしょうか。
例えば、
スケルトンの部分のみでマンションが分譲され、購入者はインフィルの部分を購入後に好きなように工事する
ような場合とか。
日本では殆ど見かけませんが、中国では、新築マンションの販売に多いようです。
新築マンションでのスケルトンインフィル工法
上記は建築一般の話で、新築マンションで言われるスケルトンインフィル工法は、もう少し別の意味で使われています。
1. 住戸内に設備配管がないこと。
※プラウドタワー武蔵小金井クロスの物件HPより。
もともと、スケルトンインフィル工法とは、
スケルトンとインフィルとを分けて作るので、
当然、インフィル工事(内装工事)の際に、工事の制約となるもの(=設備配管などの動かすことのできないもの)がない方がよいということになります。
そのことから、マンションでは、設備配管を住戸内からなくしたものがスケルトンインフィル工法と呼ばれています。
2. 高い二重床であること。
また、制約をなくすという意味では、
住戸内の床を上げることで、その下に設備配管を自由に設けることができるスペースを確保することも、スケルトンインフィル工法と呼ばれます。
概念イメージ。
※プラウドタワー武蔵小金井クロスの物件HPより。
住戸内の床を一律に上げることで、
どこでも設備配管が通ることができ、
お風呂やトイレなどの水回りの配置に対する制約がなくなったものもスケルトンインフィル工法と呼ばれています。
新築マンションにおけるスケルトンインフィル工法のメリット、デメリット
ここでは、
『住戸内に設備配管がにないこと』
『高い2二重床であること』
という意味でのスケルトンインフィル工法
の新築マンションにおける
メリット、デメリットについてです。
- メリット
1. 間取りの完成度が高まる。
設備配管がないことによる間取りへの制約が少ないため、よい間取りが生まれやすいです。
通常、設備配管スペースを避けて間取りを考えていくため、間取りに無理が出ることがありますが、
設備配管が住戸内になければ、純粋に間取りだけを考えられるため、間取り作成の難易度が下がるので、おのずと良い間取りになります。
2. デットスペースが少ない。
単純に設備配管スペース分だけ、デットスペースが少ないです。
さらに言えば、
配管スペースがあるがために、デットスペースができてしまった。。
みたいな間取りもよくありますので、それと比べるとより無駄なスペースは少ないです。
3. 水回りの位置の自由度が高く、リフォーム時の間取り変更が容易。
高い二重床にして水回りの位置の自由度が高まることは、新築マンション購入時点では、あまりメリットにはならないです。
ただし、間取り変更を伴うリフォームの際にはメリットが大きいです。
高い二重床にしていない場合、水回りの位置は、新築時の位置から基本的には変えることができませんが、
高い二重床にすることで新築時の水回り位置とまったく違う場所に水回りを設けることも可能です。
- デメリット
スケルトンインフィル工法であることのデメリットは、ほぼないと考えてよいと思います。
ただし、
スケルトンインフィル工法を採用するために作り手として負担は発生します。
まず、通常考慮しなくてもよい設備配管スペースを住戸外に確保しなければなりません。
また、高い二重床にするために、高い階高の確保も必要です。
この負担が担えないので、ほとんどの物件では、スケルトンインフィル工法は採用できません。
逆に言えば、その物件の計画には、スケルトンインフィル工法にするだけのゆとりがあるということです。
計画にゆとりのないギリギリの条件で設計している物件が多いので、
『計画にゆとりがあること』は、無理のない建物に仕上がっている可能性が高いという目安になります。
スケルトンインフィル工法は買いか?
基本的に買いで。
まず、スケルトンインフィル工法が採用できる条件の物件は少ないので、希少性があります。
また、単純に間取りが良いものが多いので、間取りの点で言えば、気にいる可能性が高いかと。
さらに、マンションは、住戸の広さに対して単価を掛けて価格が決まるので、(例えば20坪の広さなので、坪単価300万を掛けて、6000万円です。みたいな。)デットスペースにも坪単価分の価格が発生することになり、そのデットスペースがないことは、大きなメリットになります。
これからのマンションとスケルトンインフィル工法
スケルトンインフィル工法の思想は、
頑強なスケルトン部分と
可変可能なインフィル部分とで構成し、
その時々に合わせて、内装を自由に変えながら、長く建物を使っていくことにあります。
これは、昨今言われているサスティナブルな社会に通ずる考え方かと思います。
しかし、こと日本においては、
その国民性か
新築好きで古いものに価値を置かず、
スクラップアンドビルド(壊して建て替える)がほとんどです。
限られた環境のことを考えれば、
スクラップアンドビルド型からスケルトンインフィルのようなストック型(良いものを長く使っていく)への変換が必要です。
が、スクラップアンドビルド型で成り立ってしまっている社会を変換するのは、なかなか難しいです。
ストック型のマンションが増えていけば、少しずつでも変わっていくのでしょうか。。